不妊治療のステップアップは本当に有効?
精子と卵子の距離を短くするステップアップ
まず「ステップアップ」について説明しましょう。カップルが不妊治療に臨んだ場合、多くは次のようなステップを踏んで進んで
いきます。
- 排卵日に合わせてセックスをする
「タイミング法」
↓ - 精液を子宮に注入する「人工授精(AIH)」
↓ - 卵子と精子を採り出し、培養液のなかで受精させ、受精卵(胚)として子宮に戻す
「体外授精-胚移植(IVFIET)」
↓ - 卵子の中に直接精子を送り込む
「顕微授精(ICSI)」
ステップアップとは、より高度な医療技術に治療が進むというイメージですが、「より精子と卵子を近づける」という説明のほうがしっくりくるかもしれません。
ファーストステップ: タイミング法
タイミング法とは、不妊治療のファーストステップで、端的にいえば、受精しやすいタイミングでセックスをするという方法です。 精子は女性の体内に入ったら、卵子がいる卵管膨大部までの14cmの距離を、自力で泳いで行きます。
セカンドステップ: 人工授精
人工授精は、不妊治療のセカンドステップとして位置づけられています。 精子を直接子宮あるいは卵管内に送り込む方法で、卵子と精子の距離は、普通にセックスしたときのおおよそ半分になります。
サードステップ: 体外受精
サードステップである体外授精は、卵子のそばに精子を持って来るので、距離は限りなく0に近くなります。 さらにその上のステップの顕微授精では、精子を直接卵子に授けるため、その距離は完全に0になります。
ステップアップがデメリットになるケース
もし不妊の原因がはっきりしているならば、その原因を治療することが妊娠に近づくことを意味します。 では、不妊の原因がわからないケースではどうでしょうか。夫婦ともに検査からは異常は見つからず、原因を突き止めることのできない機能性不妊(原因不明不妊)の場合です。
ステップアップのデメリット【1】
ステップアップの大きなデメリットの1つは、治療を進めるうちに、多くの月日が流れてしまうということです。 タイミング法を1年おこなったあとに、人工授精を5?6回おこなうと、あっという間に2年ぐらいの歳月が流れてしまいます。2歳年をとってしまうわけです。
ステップアップのデメリット【2】
もう1つのデメリットは薬剤の弊害です。排卵誘発を長期間続けていると、女性のホルモンバランスを崩し、かえって妊娠しにくい状況をつくり出すことにもなるのです。
ジャンプアップという考え方
このようなデメリットを回避する方法のひとつがタイミング療法から人工授精を経ずに体外受精を選択する「ジャンプァップ」という考え方です。
不妊治療は結果がすべてという医療ですから、年齢や不妊の原因を考慮しながら、カップル自身にとって妊娠に最も近づく方法を選択することが大切であり、ステップァップはそのための1つのプランに過ぎないということを認識しておく必要があると思います。
ステップアッブは有効な場合も、 妊娠を遠ざける場合もあるのです。
参考書籍
体外受精レッスン (こまえクリニック院長 放生勲 / 著)
自然妊娠の可能性も忘れずに!
ここのところ、当サイトにも体外受精などの高度治療についてのお問合せが増えています。
しかし、「体外受精や顕微授精でなければ妊娠は無理」と言われながら「自然妊娠しました!」という沢山のご報告を頂くこともまた事実なのです。
そのようなご報告を頂く度、私たちは「命の神秘」を感じます。
愛し合う気持ちが子宝を呼ぶ
また、高度治療にステップアップすることでセックスレス傾向になるカップルもいらっしゃいます。子作り以外の夫婦の営みは必要がないということでしょうか…
しかし、命の営みはとても神秘的で、夫婦の愛情が高まれば高まるほど、精子の運動率や子宮の温度が上がり妊娠しやすい状態になるのです。
夫婦の愛する気持ち、結びつけ合う力が子宝を呼ぶのかもしれません。ですから、治療は進めながらも夫婦が愛し合う、いたわり合うということを大切にしたいものですね。



